スマホのホーム画面に、毎日ひとつ、聖書の言葉が表示される。そんなウィジェットを見せる短い動画が、TikTokで370万回再生されました。
アプリの名前は「Bible Chat」。聖書の言葉をもとに、AIが悩みに答えてくれるアプリです。リリースから約1年で、年間の売上のペースは1,500万ドル(約22億円)。利用者は、今では4,000万人と発表されています。動画で紹介した内容を、実際の画面とあわせてまとめます。
作ったのは、30億ダウンロードの会社を売った起業家
作ったのは、ルーマニアのラウレンツィウ・バラシャ氏(CEO)と、マリウス・ヨルダケ氏(CTO)。バラシャ氏は東ヨーロッパの貧しい家で育ち、「成功とは、お金の心配がないことだった」と話しています。15歳から商売を始め、Bible Chatは8つ目の事業です。
2人が前に育てたのは「T Me Studios」というアプリの会社。手がけたアプリのダウンロードは合計30億回、社員は100人以上になり、のちに売却されます。ところが本人は、当時を「仕事に意味を感じられなかった。小さなゲームや道具を作っていただけだった」と振り返っています。
「人の苦しみを減らしたい」から生まれたアプリ
2019年、バラシャ氏は人生のつらい時期を迎えます。哲学の本や聖書を読み、たどり着いた答えは「誰であっても、人は苦しむ。人と人をつなぐのは、苦しみだ」ということでした。
次に2人が作ったのは、本を読む人のためのアプリ。ところが、いちばん熱心だったのは、信仰の本を読む人たちでした。「悩みを、誰にも知られずに相談したい人がたくさんいる」。そう気づいて生まれたのがBible Chatです。
2023年のリリースの時点で、聖書のアプリはすでに約5,500個あったそうです。Bible Chatは答えを必ず聖書の言葉から作り、宗派ごとの牧師や神父、聖書の研究者と一緒にAIを調整しているといいます。2025年2月には1,400万ドル(約21億円)の資金を集めました。お金を払っているのは利用者の約3%で、97%は無料のまま使っているそうです。
オンボーディング①:最初に「信頼」と「中身」を見せる
最初はAppleなどでのサインイン。そのあと「4,000万人以上の信者が参加」と、ウィジェットをほめるレビューが並びます。
次に通知の許可。そして「神様との関係を深めよう」という画面では、「どうすれば信仰を強められますか?」という質問に、聖書の言葉を引いた答えの見本を見せます。

アプリが何をしてくれるのかが、質問に答える前にもうわかります。
オンボーディング②:ウィジェットの置き方まで教える
続いて、宗派と、読んでいる聖書の版を聞きます。版は10種類以上から選べます。
面白いのが「ホーム画面を、信仰の場所に」という画面。ホーム画面にウィジェットを置く手順を、オンボーディングの途中で教えてくれます。そのあと年齢と性別を聞き、「ウィジェットで、信仰が毎日の習慣になる」というグラフを見せます。

さらに「いま一番の悩みは?」と聞き、不安、孤独、依存、ストレスなどから選ばせたうえで、「どんなことが一番つらかったですか」と自由に書かせます。最後は「あなた専用の信仰のウィジェットを作っています」というローディングから、「成功しても、自分を見失わない」という7回のプランが出てきます。
課金画面:「誰もが神様に近づけるように、7日間無料」
課金画面の前に「誰もが神様に近づけるように、7日間を無料にしています」、続けて「無料期間が終わる2日前にお知らせします」と伝えます。
課金画面では「無料で試したい」というスイッチが最初からオン。7日間無料のあとは週額で、その下に「85%お得」な年額のプランが並びます。課金画面のあとには、今日の聖句、祈りの言葉、そして「1日目」の記録が始まります。
集客:ホーム画面を「自慢」する動画
集客の中心も、このウィジェットです。370万回再生された動画は、恋人のスマホをのぞいてみたら、というよくある場面をきっかけにしたもの。
150万回再生の動画は「ホーム画面に聖書の言葉を置くのは自慢できること」と言って置き方を教え、96万回再生の動画は、ロック画面に聖書の言葉を出す手順を番号つきで説明しています。どの動画も、アプリそのものより「スマホの画面に聖書の言葉がある自分」を見せています。
※ 利用者数・年間の売上のペース・資金は2025年2月の資金調達の発表(Romania Insider)、4,000万人はEYの紹介ページ(2026年)、払っている人の割合と1社目の話はTech.eu(2025年6月)の記事によるもので、第三者による確認はしていません。「4,000万人以上の信者」は、アプリの画面での表示です。この記事は信仰そのものの良し悪しではなく、アプリの作り方を紹介するものです。再生回数は動画を作った時点のものです。