2歳から8歳の子ども向けの学習アプリ「Keiki」が、推定で月100万ドル(約1.5億円)を稼いでいます。作っているのは、ウクライナの首都キーウのチーム。戦争が始まってからも、キーウから世界の子どもたちにアプリを届け続けています。
動画で紹介した内容を、実際の画面とあわせてまとめます。
作ったのは、幼稚園で働く母を手伝っていた創業者
作ったのは、インナ・マクシメンコ(Inna Maksymenko)氏。子どものころ、幼稚園で働くお母さんをよく手伝っていて、子育てや教育の手助けはいくらあっても足りないと感じていたそうです。
子ども向けのアプリを作ると決めて市場を調べると、この分野は伸びていました。しかも、親のためのアプリでありながら、子どものためのアプリでもある。本人の言葉を借りれば「小さな人が、初めて触れるデジタルの世界」です。
2019年、ウクライナのIT企業グループ「Genesis」の中で最初の版を出します。そのときのチームは、たった7人でした。競合より後から始めたことも、今の子どもに合ったアプリを作れる強みになった、といいます。
戦争の中でも、アプリを届け続ける
2022年、ロシアによる全面的な侵攻が始まります。最初の数日は仕事になりませんでしたが、すぐに社員たちのほうから「ボランティアをしながらでも、仕事は続けられる」と声が上がったそうです。
停電が続いた冬、キーウの事務所は、電気とインターネット、水、そして防空壕がそろった、みんなの拠点になりました。ウクライナの子どもには、アプリを無料で提供しています。5年で、チームは40人以上になりました。
140か国の親の声を聞く
今では14の言語に対応し、140か国以上で使われています。いちばん多いのはアメリカで、利用者の約半分です。
毎月届く約2,000件の問い合わせには、すべて24時間以内に返事をすることを目指しているそうです。さらに、今使っている人、やめた人、ライバルのアプリを使っている人の3種類の人に話を聞き、キャラクターも子どもたちに好きなものを聞いて作りました。この「親と子の声を聞く」姿勢が、オンボーディングにもそのまま表れています。
オンボーディング①:親と子の両方に話しかける
最初の画面は「やっと、バランスの取れたスクリーンタイムを」。子どもが好きな遊びと、親が信頼できる学びの両方を並べています。
次に出てくるのが「大人だけ」の画面。生まれた年を入れないと先に進めません。そのあとは、キャラクターのディディが吹き出しで話しかけてきて、子どもの年齢と名前を聞き、子ども自身に、いっしょに学ぶ相棒のキャラクターを選ばせます。

使うのは子ども、払うのは親。だから、両方が参加できるように作ってあります。
オンボーディング②:親の本音に答える
続いて、親に「ここに来た、一番の理由は?」と聞きます。最初の選択肢は「用事をしている間に、子どもに楽しいことをさせたい」。親の本音を、そのまま選択肢にしています。
そのあとに出てくるのが「見る時間を減らして、読む時間を増やす」というグラフ。「82%の親が、子どもがKeikiで学んでいる間に、最大40分、仕事をしたり休んだりできる」と見せます。さらに「ほかのアプリより、2倍長く集中して、3.5倍多く学べる」。

「少し休みたい」という本音と、「ちゃんと学ばせたい」という願いの両方に答えているわけです。
課金画面:50%オフの週額と、2回目の「大人だけ」
質問が終わると「7日間の学習プラン」が出てきます。1日目は文字をなぞる、2日目は数を覚える、といった具合です。
次に「7日間無料で楽しんでほしい」と言って「0ドルで試す」ボタンを出し、無料期間が終わる前にお知らせする、と約束します。
課金画面には、無料トライアル、1週間、6か月の3つが並び、最初から選ばれているのは「50%オフ」の1週間のプラン。ボタンも「50%オフを受け取る」で、割引の週額へ自然に進ませます。
そして買う前に、もう一度「大人だけ」の確認が出てきます。子どもが間違えて買ってしまわないようにしているんです。
集客:家でまねできる遊びを見せる
SNSにも力を入れていて、インタビューによるとFacebookとInstagramのフォロワーは38万人以上。公式TikTokで14万回再生されたのは、付箋で作った髪をはさみで切りながら引き算を覚える、家でまねできる算数遊びの動画です。
アプリが出てくるのは、最後の2秒だけ。「この会社は、子どもの学びをわかっている」と親に思ってもらうことが、アプリへの信頼につながっています。
※ 売上はアプリの分析サイトAppSprintの推定(2026年10月)で、第三者による確認はしていません。チームの人数・対応言語・利用国・問い合わせの件数・フォロワー数は、Mezhaのインタビュー記事(2024年8月)での本人の発言です。「82%」「2倍」「3.5倍」は、アプリの画面での表示です。再生回数は動画を作った時点のものです。