お酒を「やめる」のではなく、「減らす」ためのアプリ「Reframe」。脳の仕組みにもとづいて、少しずつお酒との付き合い方を変えていくアプリです。2022年には年間の売上のペースが1,000万ドル(約15億円)を超え、評価額1億ドルで資金を集めました。
作ったのは、大学の研究室を2つ追い出された学生と、その仲間です。動画で紹介した内容を、実際の画面とあわせてまとめます。
作ったのは、研究室を2つ追い出された学生
作ったのは、ヴェダント・プラディープ(Vedant Pradeep)氏と、ジーイー・ガオ氏。プラディープ氏は中東のアブダビで育ち、お父さんも起業家でした。遺伝子のエンジニアになるのが夢で、アメリカのジョージア工科大学に進みます。
ところが本人いわく「ひどい学生」。授業の半分をさぼり、専攻も途中で変え、「研究室では働きたくなかった。研究室を2つ追い出されました」と振り返っています。
きっかけは、自分のOCD
そんなとき、バスで会った友達に教えてもらったのが、大学の起業支援プログラムでした。子どものころから好きだったのは、超能力を持たないスーパーヒーロー。「最高の自分になれるもの」を作りたかったそうです。
まず選んだのは、本人も悩んでいる強迫性障害(OCD)。ところが、OCDの人の多くが、お酒で自分を落ち着かせていることに気づきます。依存症の施設はとても高く、お酒をやめる人の集まりはなかなか行きづらい。「少し減らしたいだけの人」のための場所は、どこにもありませんでした。そして2020年、Reframeをリリースします。
3回落ちたY Combinatorと、「人生が変わった」というメール
アメリカの有名な起業支援プログラム「Y Combinator」には、3回連続で不合格。4回目で、ようやく合格しました。利用者から「人生が変わった」というメールが届くようになったのが、いちばんうれしかったそうです。
2022年には、有料会員が約10万人、社員は20人。1,250万ドル(約19億円)の資金を、評価額1億ドルで集めました。広告は出さず、利用者のデータも売らないと決めているそうです。
オンボーディング①:「完全にやめる」と「減らす」を並べる
最初は「Reframeは効果がある。以上」と、84か国の200万人以上が使っていると見せます。続いて、ハーバードやスタンフォードの名前を並べて「何年もの研究の集大成」。
アカウントを作ると、最初の質問は「お酒との付き合い方を、どう変えたい?」。選択肢は「完全にやめる」だけではなく、「やめずに減らす」「しばらく休む」「まだわからない」まで並んでいます。そして、どれを選んでも「あなたは安心して任せて大丈夫」。

「やめなきゃ」と思っていない人でも、ここなら始められます。
オンボーディング②:お酒代と「1年後」を見せる
続いて、1週間に飲む量と、お酒にかかるお金をスライダーで入れると、1年間のお酒代が出てきます。「飲み始めると、思ったより止まらないことは?」という質問には、「もう一杯の瞬間は、脳でもっともよく研究されている瞬間のひとつ」と説明を添えます。
途中には「似たパターンの人の43%が、目標を達成した」というグラフ。仕事、家族、睡眠、運動、食事まで、質問は約50画面続き、最後は「8週間で目標に届く」という予測です。
そして「1年後に期待できること」。節約できるお金、減らせるカロリー、増えるレム睡眠の回数を並べて、減らした先の自分を数字で見せます。

課金画面:トライアルを、自分で決める
課金画面の前に、自分用のプランと一緒に「結果が出なければ、200%返金」。課金画面の見出しは「トライアルを、自分で決める」です。
7日間の無料か、30日間を少額で試すか。どちらにするかを、自分で選べます。そのあとは年額のプランで、月あたりの金額に直して見せ、「無料期間が終わる前に知らせる」スイッチもついています。いきなり「買う」か「やめる」かを迫らずに、試し方まで選ばせているわけです。
集客:説教ではなく、「知る」動画
公式のTikTokは5万人以上にフォローされています。140万回再生された動画は、夕暮れの海に「お酒を人生から取り除くと、たくさんの問題も一緒に消える」という一文だけ。190万回再生の動画は「お酒の本当のことを知ったら、もう同じようには見られない」。
どちらも「やめろ」とは言わず、知ることで見る目が変わるように作られています。
※ 有料会員・年間の売上のペース・社員数・資金・評価額は、Fortune(2022年3月)の記事によるもので、第三者による確認はしていません。「84か国の200万人以上」「43%」などはアプリの画面での表示です。「1年後」の数字は、録画のときに入れた量から出たものです。この記事はお酒の害そのものではなく、アプリの作り方を紹介するものです。再生回数は動画を作った時点のものです。