食べた物を記録するアプリは、世の中に山ほどあります。その中で、アプリに広告を一度も出さずに、利用者60万人以上まで伸びたのが「MacroFactor」です。体重の変化から代謝を計算して、毎週、食べる量の目標を自動で直してくれるアプリです。
始まりは、パワーリフティングの世界記録を持つ男が配った、1枚のスプレッドシートでした。動画で紹介した内容を、実際の画面とあわせてまとめます。
作ったのは、世界記録を持つ研究好きの男
作ったのは、アメリカのグレッグ・ナックルズ(Greg Nuckols)氏と、その仲間たち。もとはアメフトの選手でしたが、脳しんとうでやめてパワーリフティングに進み、3つの歴代世界記録を持つまでになりました。
運動科学の修士号もとり、研究をわかりやすく伝えるブログを始めます。それが今の「Stronger By Science」です。そのサイトで配ったのが、食べる量を計算するスプレッドシートでした。本人いわく「2015年ごろに出したスプレッドシートが、アプリの中心の仕組み。でも、とても単純なものだった」。
「何か作ってから、また来て」
このスプレッドシートには弱点がありました。データが少なく、毎日の体重のぶれを、うまくならせなかったんです。
2020年、スプレッドシートを使っていた開発者のコーリー・デイビス氏から、ネットで「これをアプリにしたら、一緒にやりませんか」と連絡が来ます。知らない相手だったので、答えは「何か作って、見せられる物ができたら、また話そう」。彼は数か月かけて最初のアプリを作ってきて、それが思った以上によくできていたので、一緒にやると決めたそうです。
開発はコーリー氏と、データサイエンスを学んだ仲間のレベッカ氏。デザインと宣伝は、奥さんのリンジー氏。最初に試した一人が、人気のフィットネスユーチューバー、ジェフ・ニッパード(Jeff Nippard)氏でした。
広告なしで、4年で17倍
2021年9月にリリースし、公開の日にはYouTubeで「ローンチパーティー」の生配信をしました。利用者は、2022年の3万5,000人から、2026年には60万人以上。4年で17倍です。
外からの出資は受けておらず、会社は成長の大きな理由を「口コミ」だと書いています。チームは利用者のグループや掲示板を読み、ほしい機能を受け付ける窓口も開いています。ナックルズ氏は「たいていの人は、ほしいものを分かっていて、聞けば教えてくれる。それを形にすれば、とても喜んでくれる」と話しています。2024年には、Google Playの「ベスト オブ 2024」にも選ばれました。
オンボーディング:「データは売らない」と、計算の理由
最初の画面は「科学で動き、魔法のように使える」。続いて「あなたのデータは売らないし、広告のための追跡もしない」と、先に約束します。
質問が終わると、チャットの形で結果が出ます。「あなたが1日に使うカロリーは、2,600キロカロリー」。その下には「どうやって計算したの?」というボタンがあり、押すと「研究チームが、身長や体重、年齢、性別、活動量から求める式を作りました」と答えてくれます。

数字を出すだけでなく、その理由まで見せているわけです。最後に、曜日ごとの目標が並んだプログラムと、アプリでできることの一覧を見せます。

どのプランも7日間の無料トライアルから始まります。無料のプランはなく、そのかわりアプリの中に広告は出しません。
集客:共同オーナーが「偏ってるけど」と言う動画
集客で大きいのが、のちに共同オーナーになったジェフ・ニッパード氏の発信です。160万回再生されたTikTokは「いちばんいい栄養アプリは?」という問いから始まり、人気のアプリと順番に比べたあとで、「僕は共同オーナーだから、偏っている。でも、断然いちばんだと思う」。
先に自分の立場を伝えてから勧めるから、信じてもらえます。
※ 利用者数は、MacroFactorの年次レポート(2026年、各年9月ごろの数字)によるもので、第三者による確認はしていません。歴代世界記録の数はStronger By Scienceの紹介ページ、外からの出資を受けていないことはMacroFactorのプレスリリースによるものです。カロリーの数字は、録画のときに入れた体重などから出たものです。再生回数は動画を作った時点のものです。