ファッション業界でマーケティングをしていた、テックの経験がない女性。彼女が作った生理周期のアプリ「Lively」が、リリースから1年で約6億円を売り上げました。生理周期に合わせて、その日の食事や運動、過ごし方を提案してくれるアプリです。
動画で紹介した内容を、実際の画面とあわせてまとめます。
作ったのは、ディオールとセリーヌのマーケター
作ったのは、チェコ出身のバーラ・ディブリク(Bara Diblik)氏。デンマークでファッションマーケティングを学び、ディオールやセリーヌのマーケティングに関わっていました。
彼女は、ひどい生理痛に悩まされていました。本人いわく「学校や仕事中に倒れるんじゃないかと、いつも不安だった」。病院で言われるのは、ピルか痛み止めだけ。そんな彼女を助けたのが、生理周期に合わせて食事や運動を変える「サイクルシンキング」という考え方でした。
2か月で作った最初の版
「ただの生理管理アプリは作りたくない。毎日役に立つものにしたい」。そう考えた彼女は、2か月で最初の版を作り、2023年の秋にアメリカでリリースします。今の周期のフェーズと、次の生理までの日数、その日のおすすめを出すだけのシンプルなアプリでした。
それから約1年で、利用者は100万人を超え、売上は400万ドル(約6億円)に。当時の社員は3人だけで、外からの投資も受けていません。
オンボーディング①:信頼を、1画面ずつ積み上げる
最初は女性たちの写真のコラージュ。「サイクルシンキングのアプリで1位」「400万人以上の女性が信頼」と、まず安心させます。
次に「医師にすすめられて来ましたか?」と聞いてから、女性の健康の専門家の推薦コメントを見せます。

そして「あなたの目的は?」。周期の管理だけでなく、妊活、妊娠、産後、更年期まで選べます。生理の悩みは人生のどの時期にもあるので、どの時期の女性も自分ごとにできます。
オンボーディング②:質問のあとに「今日のあなた」を見せる
続いて、前回の生理の日、食事の好み、避妊の方法、周期の長さ、持病などを聞いていきます。途中では「6か月使った人の82.3%が、体調がよくなったと答えた」というグラフも見せます。
面白いのが「Livelyは、あなたのような女の子が、あなたのような女の子のために作りました」という画面。ここでApp Storeの評価をお願いしてきます。
分析が終わると、課金画面の前に「今日は周期の2日目、月経期です」と、その日のおすすめの過ごし方を見せてくれます。
課金画面:3回に分けて「無料」を伝える
最初の画面は「Livelyを無料で試してほしい」。ボタンには「0ドルで試す」、その上に「今は支払いなし」と書いてあります。

次の画面では、ベルの絵と一緒に「無料期間が終わる前にお知らせします」。最後に、今日・5日目・7日目と無料期間の流れを見せてから、プランを選ばせます。プランは月額と、7日間無料つきの年額の2択で、年額が最初から選ばれています。
いきなり料金を見せずに、「無料」「お知らせ」「流れ」と3回に分けて、不安を先に消しているわけです。
集客:周期を「物語」にするクリエイター
集客で大きいのは、クリエイターのショート動画です。240万回再生された動画では、アプリの黄体期の画面を見せながら「ホルモンが、旅行を予約しろって言った」。
57万回再生の動画は、自分の周期を「リアリティ番組のように編集」するシリーズで、フェーズを1話ずつ見せています。49万回再生の動画では、「女性が、女性のために作ったアプリ」だと語っています。
Metaの広告ライブラリでも「Lively Cycle」の配信中の広告が約670件(2026年10月23日時点)。クリエイターの動画を使った広告が、英語とスペイン語で並んでいます。
※ 利用者数・売上・社員数は、本人がチェコのテックメディア「CzechCrunch」(2024年12月)に話した数字で、第三者による確認はしていません。「400万人以上の女性が信頼」「82.3%」は、アプリの画面での表示です。再生回数は動画を作った時点のものです。