編み物を教えるだけのアプリ「YarnPal」が、推定で月1億円ほどを稼いでいます。かぎ針編みと棒針編みを動画で教えてくれるアプリで、編み目をカメラで撮ると、AIがその編み方を教えてくれます。
動画で紹介した内容を、実際の画面とあわせてまとめます。
作ったのは、シンガポールの小さなスタジオ
作ったのは、シンガポールの「Pixelcell」という会社。趣味を楽しむ人のための道具を作っている、独立系の小さなスタジオです。
きっかけは、チームの一人が、子どものころに家族が編んでくれたマフラーを見つけたこと。そこからもう一度編み物を始め、図と動画で教えてくれる「先生」のようなアプリを作りました。リリースは2024年の終わりです。
アプリの分析会社Appfiguresの推定では、2026年3月のダウンロードは51万件、手数料を引いたあとの売上は69万ドル(約1億円)でした。
オンボーディング①:アプリより先に、編み物の良さを伝える
最初に出てくるのは、アプリの説明ではありません。「数分で心が落ち着く、逃げ場所を想像してみて」と語りかけ、その逃げ場所が編み物だ、と続きます。
さらに、編み物をすると心拍数が1分あたり平均11回下がるという研究や、「毛糸のヨガ」と呼ばれていることを紹介。11世紀のエジプトから北欧の神話まで、編み物の歴史もイラストで見せていきます。

YarnPalが狙っているのは、まだ編み物を始めていない初心者です。だから、アプリを売る前に、まず「編み物っていいな」と思ってもらうところから始めています。
オンボーディング②:どんな答えでも、ほめる
続いて「たった4つの質問」が始まります。まずは編み物の腕前。「初心者」を選ぶと、「もう始めているなら、あなたはもう上達の途中です」と返してくれます。
次は本物の編み図を見せて「これが読めますか?」と聞きます。「少しだけ読める」なら「いいスタートです」、「全く分からない」でも「大丈夫。経験者も一歩ずつ覚えてきました」と励ましてくれます。
最後に利き手を選ぶと「すべての動画を右利き用にしました」と、すぐに自分用に変わります。準備中の画面では「世界一長いマフラーは4,565メートル」といった豆知識で、待ち時間も楽しませます。
どの答えを選んでも、ほめられて、自分用になっていく。だから初心者でも最後まで進めます。
課金画面:「迷わずに始めよう」
課金画面の見出しは「Start Without Feeling Lost」(迷わずに始めよう)。後ろには、これから編めるようになる作品がずらりと並んでいます。
7日間の無料トライアルが最初から選ばれていて、「無料期間が終わる前に知らせる」スイッチもついています。年額のプランは、月あたりの金額に直して見せています。

アプリに入ると、最初の作品は蝶ネクタイ。「4つの作品で基本が身につく」と、次の目標が示されます。写真から編み目を見分ける機能を開くと、もう一度課金画面が出てきて、ここでは年額のほかに週額のプランも並べています。
集客:初心者の不安に答える広告
集客の中心はMetaの広告です。広告ライブラリで「YarnPal」と検索すると、配信中の広告が約2,100件見つかりました(2026年10月23日時点)。
広告の文は「不器用だと思ってる?大丈夫」「かぎ針編みは、何か月もかけずに、数分で」。初心者が抱える「自分にできるかな」という不安に、まっすぐ答えています。
TikTokでは、「YarnPalで初めての作品ができた」と報告する初心者の動画が6.6万回再生されました。
公式アカウントも、「初心者向けのかぎ針編みアイデア5選」のような短い動画を出しています。
※ 売上とダウンロード数はAppfiguresの推定で、第三者による確認はしていません。心拍数の研究は、アプリの画面での紹介を訳したものです。再生回数は動画を作った時点のものです。